睡眠時無呼吸症候群とは
人生のおよそ1/3を占める睡眠、あなたは十分な睡眠が取れているでしょうか?「いびき」がうるさいと言われた事や睡眠中の呼吸停止(無呼吸)を指摘されたことはありませんか?睡眠時無呼吸症候群の主症状は「いびき」や「呼吸停止(無呼吸)」という他覚症状と「日中の過度の眠気(EDS)」という自覚症状です。さらに、睡眠時無呼吸症候群は肥満に伴う生活習慣病やメタボリックシンドロームとも深く関わっています。
睡眠時無呼吸症候群とは、「EDSもしくは閉塞性無呼吸に起因するさまざまな症候のいくつかを伴い、かつ無呼吸低呼吸指数≧5」と定義されています。ここで言う無呼吸とは睡眠中の10秒間以上の口・鼻における気流停止のことであり、低呼吸とは10秒間以上にわたって換気量が50%以上低下すること、さらに無呼吸低呼吸指数とは1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数の合計を表しています。
睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠から生活習慣を改善し、未病予防にチャレンジしてみませんか?当クリニックで行っている睡眠時無呼吸症候群の検査(終夜睡眠ポリグラフィー:PSG)は入院の必要はありません。つまり、自宅で簡単に行える装置を用いた方法で、診断並びに重症度判定が可能です。この自宅で行えるPSGには、従来から行われている簡易検査と2020年4月から保険適応となった在宅精密検査があります。医療機関に1泊入院して行う一般的精密検査との比較を下記に示します。
PSG | 簡易検査 | 在宅精密検査 | 一般的精密検査 |
---|---|---|---|
検査場所 | 自宅 | 自宅 | 医療機関 |
装置 | 本人(簡便) | 本人(簡易に比しやや複雑) | 1泊入院(医療関係者が装着) |
利点 | 在宅検査のため普段の状態で検査が可能 | 在宅検査のため普段の状態で検査が可能 | 細かい項目の検査が可能 |
欠点 | 簡易型のため評価項目が限定 | 本人装着で複雑のため装置外れがあると再検査 | 入院費用の加算・普段と違う環境(病室) |
自己負担額(3割負担) | 約2,700円 | 約11,250円 | 約20,000~50,000円 |
評価内容 | 無呼吸低呼吸指数(AHI) 無呼吸による酸素飽和度の低下 無呼吸タイプの識別 いびきの有無・程度 |
無呼吸低呼吸指数(AHI) 無呼吸による酸素飽和度の低下 無呼吸タイプの識別 いびきの有無・程度 睡眠ステージ 睡眠効率 |
無呼吸低呼吸指数(AHI) 無呼吸による酸素飽和度の低下 無呼吸タイプの識別 いびきの有無・程度 睡眠ステージ 睡眠効率 不整脈の有無 他睡眠障害の有無 |
CPAP導入保険適応基準 | AHI≧40 | AHI≧20 | AHI≧20 |
睡眠時無呼吸症候群の治療の保険適応は、検査法により異なります。簡易型の場合は、無呼吸低呼吸指数(無呼吸及び低呼吸の睡眠1時間あたりの合計回数:AHI)が40以上ですが、在宅精密検査では20以上で可能となります。
治療法としては「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)」が睡眠時無呼吸症候群に対し最も有効で一般的です。現在、日本で10万人以上の方が行っており、年間1-2万人の方がこの方法で新たに治療を始めています。睡眠時無呼吸症候群に罹患している人は、心筋梗塞・脳卒中等の致命的な心血管ベントの発症が健康な人の約3倍になりますが、CPAP療法の実施により、健康な人と変わらないほど低下します。
最近、睡眠時無呼吸症候群と思われる方のEDSを原因とする重大な労働災害・交通事故の報道も目にすることが多くなりました。CPAP療法の実施により、そうした災害・事故を未然に防ぐことが出来ます。